美容室経営はコロナこと新型コロナウイルスで変わりました。
いえ、変わらざるをえなかったとも言えます。
まず、売上の変化。
多くの美容室の売上は下がりました。
次に、お客様が希望するメニューの変化。
コロナ前とくらべるとカットだけのお客様が増えたというデータがあります。
美容業界全体が新型コロナウイルスによる消費の変化で大打撃を受けたわけですが、中には、売上が上がったという美容室もあります。
売上が下がった美容室、そして、売上が上がった美容室、コロナ前とコロナ後で変わった点を比較するとともに、これからの美容室経営はどう変わっていくべきなのかを考えてみましょう。
そもそも美容室経営はなぜ新型コロナで苦境に立たされてしまうのか?
新型コロナウイルスという存在がニュースで報じられてから1年以上が経過しましたが、今尚その脅威は薄れていません。
飲食店の苦境がよく取り沙汰されていますが、休業に関する補償が出ないのに休業しなければならないのであれば、どこのどんな業界の業種であろうとも苦境に立たされるというものです。
では、美容室はどうなのかというと、休業に関する補償はありません。
そもそも、休業要請が出ていません。
美容室はおしゃれのためという一面もあるものの、爪を切ったり入浴したりするのと同じく清潔を保つための場所でもあり、それゆえに、美容室にしても床屋にしても休業要請は出ていません。
長期で入院している方の髪を切る、外出が困難な方の髪を切るといった訪問美容(訪問理容)サービスがあることからもわかるように、「髪を切ること」を必要としている人はたくさんいらっしゃいます。
休業要請が出ておらず、必要としている方々のために営業はしているのですがしかし、不要不急の外出を控えるとなると、美容室に通う頻度はどうしても落ちます。
新規及びリピーターの来店数が落ちるのですから、美容室の売上は当然落ちます。
来店者数が落ちているだけでなく、単価も落ちています。
コロナ前とくらべるとカットだけのお客様が増えているというデータがあります。
これは、
・新型コロナウイルスを警戒して滞在時間を短くするため
・節約のため
・カラーやパーマの施術をしても次にいつ来られるかわからないため
といった消費者心理ゆえです。
来店者数も単価も落ちた美容室の経営は、どうしたって苦境に立たされます。
コロナ前とさほど変わっていない美容室に共通しているのは『地域密着型』
コロナ前とくらべるとすべての美容室経営が苦境に立たされている。
と、思いますよね。
ところが、コロナ前よりも売上が上がったという美容室も中にはあります。
そういう美容室に共通しているのは『地域密着型』である点です。
都心の美容室は、会社から近い、学校から近い、繁華街に近い、よく利用する駅に近い、通勤通学路の途中、有名な美容師がいる、有名な店などといった理由で選ばれています。
が、在宅時間が増えたことで会社に近い美容室や通勤通学路の途中にある美容室をわざわざ利用する必要もメリットもなくなりました。
有名な美容師がいるなどの理由も、不要不急の外出を控えなければならない時に時間とお金をかけてまで行くほどの理由だろうかと天秤にかけられると、「そこ(の美容室)じゃなくてもいいかな」という気持ちになります。
対して、地域密着型こと地元の美容室は、コロナ禍においても「近いから行ってみようかな」という気持ちになりやすいです。
今まで都心に流れていたお客様が最寄りで美容室を探すようになった結果、都会の美容室よりも郊外の美容室のほうが売上が伸びている、というわけです。
もっとも、何もしていないのにお客様が増えて楽々売上アップ!などということではなく。
来店してくださったお客様に対して誠実に施術や接客をした結果、「わざわざ都心に出なくてもここの美容室で満足」という気持ちになっていただけた結果、売上アップになっている。
したがって、地域密着型であればコロナ禍でも売上が伸びるという意味ではありません。
これからの美容室経営はwithコロナを意識していかなければならない
これからの美容室経営は、今はまだ、コロナ禍が過ぎ去ったあとのことを考える段階ではありません。
現在進行形の新型コロナウイルスの影響、withコロナを意識していかなければなりません。
引き続き、感染症対策を徹底していく必要があります。
消毒薬やマスク等の消耗品、体温計及びそれ用の電池等の雑費が気になるところではありますが、ここをケチってしまうと、新規もリピーターも逃がす可能性があります。
ウレタンマスクではなく不織布のマスクを使用するというようなスタッフへの指導も必要となるでしょう。
それと、売上が伸びている美容室の中には店販が伸びているところもあります。
美容室に通う頻度が落ちているとしても、お客様1人あたりの単価が落ちているとしても、髪に対する美意識はさほど落ちていません。
むしろ、ステイホームでどこにも行かれない時こそホームケアに力を入れようという人が増えています。
これを利用しない手はありません。
利用頻度が落ちていることを逆手に取って、美容室に来られないあいだのホームケアをおすすめすることで店販売上は伸びやすくなります。
あるいは、カラーやパーマの施術をすると美容室に来られないあいだにダメージが進行することを気にしているお客様なら、店販でのケアをおすすめしつつホームケアをすれば大丈夫だからカラーやパーマを我慢しなくてもいいといったトークができます。
Withコロナを意識した経営努力で、美容室の売上を上げることは可能ということです。
まとめ
美容室経営はコロナ禍だからしかたないなどとは言っていられない
美容室経営者の多くは新型コロナウイルスのせいで苦境に立たされています。
しかし、もれなく売上が下がっているのかといったら、売上が上がっている美容室も存在しています。
売上が上がったところで新型コロナウイルスのおかげだなどとはとても言えませんが、要は、苦境に立たされた時にどういう戦略を取るのかという話です。
「コロナ禍だからしかたない」で終わらせるのではなく、「コロナ禍だからああしようこうしよう」と考えてこそ、経営者です。
感染症対策の徹底。
店販の促進。
カット以外のメニューをおすすめする。
カット希望者が多いなら回転率を上げることで売上を伸ばす。
できること、やれることは、あります。
あとは、訪問美容サービスを始めるというのもひとつの手です。