美容室を独立して一人で開業するメリットとデメリットはどちらが大きい?

美容室を独立して一人で開業したいという人が増えています。
独立時に同じ美容室だった同僚や後輩と一緒にやっていくスタイルや、独立後に自分以外の美容師を雇うスタイルなどがありますが、そうではなく、オーナーは自分で美容師も自分というスタイルです。
ですが、いくら美容室独立後は一人でやっていきたいという人が増えているとしても、それが本当にベストなのかはわかりません。
美容室を独立して一人で開業するメリットとデメリットをそれぞれ挙げ、メリットとデメリットのどちらが大きいのかを比較してみましょう。

 

 

 

美容室を独立して一人でやっていくスタイルのメリット

美容室を独立して一人でやっていくスタイルのメリットを挙げていきます。

・人件費がかからない
・教育しなくて済む
・スタッフ同士の人間関係に悩まなくて済む
・何でも自分で好きに決められる
・密になりにくい

まず、支出の中でももっとも大きい人件費が抑えられます。
自分以外に電話対応するスタッフなどがいれば人件費は発生するのは当然ですが、そういうスタッフも雇う予定がないのであれば人件費は発生せず、売上の50パーセント前後が自分の収入となります。
なお、人件費が発生する場合、経営者の収入は売上の20パーセント前後だと言われています。

次に、人間関係のわずらわしさがないのが大きいです。
教育しなくて済みますし、スタッフ同士の揉め事に悩むこともありません。
スタッフのシフトを調整しなくていいといった事務作業の軽減も。
美容室という職場における人間関係に疲れてしまっているならこのメリットは大きいのではないでしょうか。

そして、何でも自分で好きに決められるのは一人美容室の強みです。
雇われているとそういった自由さはありませんし、こうしたい・こうしたほうがいいといった考えがあったとしてもなかなか口に出せない、口に出したところで考慮してもらえないことも残念ながらあります。
内装やコンセプトを自分の思い通りにできるのは魅力的ですね。

あとは、コロナ禍においては、密になりにくいのも利点です。

 

 

 

美容室を独立して一人でやっていくスタイルのデメリット

美容室を独立して一人でやっていくスタイルのデメリットを挙げていきます。

・売上の上限に達しやすい
・他にスタッフがいない=自分の代わりがいない
・何でも自分で好きに決められる反面、何もかも自分で決めなければならない

売上の上限とは、「それ以上の数字を出せない」という意味です。
平均的な単価に1日あたりの平均的な客数を掛けると1日あたりの平均的な売上が出ますよね?
6,000円×4人=24,000円といった風に。
さて、美容師1人が担当できる1日あたりのお客様の数はというと、5人から6人ほど。
上限を6人としてみましょう。
平均的な単価に上限数を掛けると?
6,000円×6人=36,000円という数字が出ます。
あとは、1か月は30日前後で1年は365日と決まっていますから、1か月あたりの売上、年間売上がだいたいわかります。
だいたいの数字が決まっているがゆえに、それ以上の数字にはどうあがいてもならないということです。
ちなみに、コロナ禍で一番安い施術すなわちカットのみというお客様が増えているので、平均的な単価よりも最低単価で計算したほうがより現実的な数字になるかもしれません。

他にスタッフがいないということは、自分の代わりがいないということです。
このコロナ禍においては新型コロナにかかってしまう可能性はゼロではなく、濃厚接触者や濃厚接触者疑いになる可能性もあります。
営業できないあいだの売上はゼロです。
新型コロナに限らず、美容師の持病になりやすい腰痛やヘルニアで休みたくとも休めないという状況もありえます。

それと、何でも自分で好きに決められるという自由さは、どんな些細なことも店の存続を決めかねない大きなことも自分一人で決めなければならないという不自由さの裏返しでもあります。

 

 

 

美容室独立後に一人でやっていくメリット・デメリットを比較

美容室を独立して一人でやっていくスタイルのメリット・デメリットを比較します。
ポイントとなるのは、人件費や売上といったお金に関することと、人間関係に関することです。

お金に関することから比較していきましょう。
人件費がかからず、売上の50パーセント前後が収入となるのが一人美容室のメリットです。
その一方で、一人で担当できるお客様の数はそう多くなく、売上の上限に達してしまいやすいというデメリットを抱えています。

人件費が発生する場合の経営者の収入は売上の約20パーセント。
一人美容室とくらべてパーセンテージが減っているわけですがしかし、一人より二人のほうが、二人より三人のほうが売上は上がります。
人件費の占める割合が大きいとはいえ、「一人美容室の場合は収入が50万で人を雇う場合は20万になる」というような極端な数字の減少はありません。
むしろ、人を雇って美容師の数を増やしたほうが売上が伸びて収入も上がる可能性が高いです。

続いて、人間関係に関することを比較します。
どんな職場でもそうですが、人間関係が悪化するもしくは悪化しないようにと立ち回ることはストレスが生じることです。
誰かとコミュニケーションを取ることは簡単なようでとても難しいことですから、疲れもします。
そういうわずらわしさが一切なかったとしたら、それは大きなメリットではないでしょうか。

もっとも、自分しかいない気楽さは、自分の代わりがいないというリスクを生んでいます。
ケガや病気や新型コロナウイルスに細心の注意を払わなければなりませんし。

 

 

 

まとめ

美容室を独立して一人でやっていくかは何に重きを置くかで変わる

美容室を独立して一人でやっていきたい。
そう考えることは悪いことではありません。
ただ、メリットもあればデメリットもありますし、メリットが大きいかデメリットが大きいかは何に重きを置くかで変わります。

独立前よりも年収を上げたい、より多くのお金を手にしたいということであれば、一人美容室よりも自分以外にも美容師を雇うスタイルのほうが売上を伸ばしやすいぶん年収も上がりやすいです。
ですが、人を雇えば雇うだけ、教育やシフトの調整といった雑務が増え、人間関係由来のストレスも抱えやすくなります。

お客様相手ならともかく自分の城である美容室で誰かに気を遣いたくない、人間関係に悩みたくない。
そういう人は一人美容室のほうが向いていると言えます。
ただ、自分の代わりがいないのですから、体力にも健康にも自信がないと何かあった時に経営していかれなくなります。

日本の美容室は今やコンビニよりも多く存在していて、それすなわち、ライバルがコンビニよりも多いということを意味しています。
数多いライバルを相手取るのに、一人のほうが向いているのか、それとも、誰かいたほうが勝ち残れるのか。
よく考えて結論を出してください。