美容室の売上は、「技術」と「店販」。
技術売上と店販売上のことです。
技術売上は、カットやカラーやパーマといった施術料、すなわち、美容師の技術に対しての売上。
店販売上は、店で販売した物品の売上。
売上の多くを占めているのは「技術」のほうであり、売上を上げたいなら技術売上を上げる努力をしたほうが手っ取り早くはあります。
が、店販売上による売上アップも無視できないものがあります。
店販のメリット、デメリットはないのか、店販売上をアップするコツはあるのか?
ベテラン美容師になっても苦手としている人もいる店販についてまとめます。
美容室では店販売上を増やせればメリットが多い
美容室の中には店販を行っていないところもあると思われます。
その理由はさまざまで、オーナーなり店長なりの都合があるわけで、何が何でも店販を導入しろとは言えません。
言えませんがしかし、店販のメリットについて考えてみてください。
美容室には、当然のごとく、美容師がいますよね。
そして、お客様が座る席(セット面)やシャンプー台といった設備があります。
美容師にしても設備にしても、数に限りがあります。
美容室という場所の広さが決まっているのですから美容師も設備も無尽蔵には増やせず、上限があります。
その上限は売上の上限でもあります。
つまり、美容師の数や設備の数で売上の数字はだいたい決まってしまいます。
上限よりも売上を上げたい。
そんな時、店販は上限以上の売上を叶えてくれます。
例えば、美容師が2人いる美容室において、施術に2時間かかるお客様8人の予約が入ったとします。
2時間かからないこともありますから、1人か2人くらいであれば予約が増えても対応できるでしょう。
けれど、5人も10人も予約が増えたら対応し切れません。
上限が決まってしまうとはこういうことです。
その点、店販であれば、美容師が割く時間がほとんどありません。
施術しながら店販トークをして、お会計時に実際の商品を販売するだけでいいからです。
時間や労力を大幅に割かずとも売上に繋がるのが店販の最大のメリットだと言えます。
しかも、店販には上限が発生しません!
美容室における「店販」にデメリットはあるのか?
店販売上が美容室の総合的な売上を支えてくれるといっても、店販にマイナスなイメージを持つ美容師も少なくないのではないでしょうか。
店販の何がそんなにマイナスイメージなのか?
セールストークが押し売りしているようで心苦しい。
そもそも販売するためのセールストークが苦手。
大きなマイナス要因はこのあたりでしょう。
実は、店販はお客様にとってもマイナスな印象かというとそうでもありません。
しつこく押し売りされたら、お客様だって誰だって嫌な気持ちになります。
しかし、押しつけるのではなくさらっとおすすめされる程度であれば、露骨に嫌がる人はいません。
逆に、美容師という美容のプロがおすすめする化粧品はどんな物なのだろうと興味を持ってくれる人もいます。
SNSでコスメアカウントと呼ばれるコスメに関する情報を発信するタイプのようなコスメに詳しい方ならともかく、どういうダメージを受けていてどういうヘアケアアイテムが必要なのかよくわからなくて困っているというお客様にしてみれば、自分の髪の毛に対してアドバイスをしてもらって具体的にアイテムを提示してもらうのは天の助け。
押しつけさえしなければ、「こういうアイテムがいいですよ」というトークはアドバイスになります。
マイナスな印象を与えないようにセールストークできるか不安を覚えるのがデメリットと言えばデメリットかもしれません。
が、店販のシャンプーやトリートメントを購入するために来店してくださるお客様もいらっしゃいますから、デメリットよりもメリットのほうが大きいと言えます。
美容室の店販をアップするにはコツがある
店販を導入したところでまったく売れなかったらどうしよう……。
そんな風に不安に思う気持ちはわかります。
美容室の店販売上を上げるにはコツがあります。
要は、押し売りしなければいいのです。
強引に売りつけようとしても断られるか、断られなかったとしてもそのお客様が再来店してくださることはないでしょう。
対して、強引ではないセールストークであれば、お客様も耳を傾けてくれます。
美容師がおすすめするなら使ってみようかなという気持ちになる人は一定数いるので、売れなかったら売れなかったでいいやくらいの気持ちで大丈夫です。
嫌々販売していたらお客様に伝わります。
さらっと伝えてあっさり引き下がる、そして、引き下がったところで話を終わらせるのではなく違う話を振ってセールストークを忘れさせることがコツです。
あとは、雑然と並べられた物よりも美しく並べられている統一感のある物は目を引きます。
例えば、小顔カットで知られるSTEP BONE CUTのFLAG SHOPでは、STEP BONE CUTのPRODUCTSであるSBCPのシリーズを美しく陳列していますし、それらは実際に施術に使用している物でもあります。
美容室で実際に使用している物、自分でも使っている物はトークしやすく販売もしやすくなります。
ただ、長々と説明するよりは要点を押さえたトークのほうが良いでしょう。
まとめ
美容室の売上において「店販」はデメリットよりもメリットのほうが多い
美容室の売上において、技術売上と店販売上のどちらかしか選べないとしたら、技術売上を選ぶべきです。
美容師の最大の武器は技術だからです。
ですが、実際にはどちらかしか選べないわけではありません。
店販を導入しようと思えばどんな美容室でも導入はできます。
お客様に嫌がられる。
売れない。
セールストークがしんどい。
といったデメリットばかりだと思う人もいるかもしれませんが、実のところ、店販はデメリットよりもメリットが大きいです。
単純に、総合的な売上が上がりますし、しかも、販売するだけなので技術力や時間を大幅に費やすことなく売上アップできます。
その商品にリピーターがつけば継続した店販売上が期待でき、なおかつ、その商品を購入したいタイミングで予約を入れるあるいは予約した帰りに商品を購入するといった風に技術売上のほうも相乗効果で上がることが期待できます。
デメリットが多い物を導入するのはリスクですよね。
しかし、メリットが多い物を導入するのであればそれはリスクではなくチャンスとなります。