ヘアサロンの経営を維持していくために必要な売上はどれくらいなのでしょうか?
売上がないよりあったほうがいいのは勿論ですが、なまじある程度の売上があると経営資金に足りていないとしても足りていると錯覚してしまいます。
「ヘアサロンの経営にはこれくらいの売上が必要」という目安を把握しておかなければなりません。
その“目安”をお話しします。
ヘアサロン経営維持に必要な売上を知る前に自分のところの数字を把握する
厚生労働省が出している統計によると、ヘアサロンの平均的な客数は1日あたり10人未満だと言われています。
そして、平均的な客単価は約6,000円。
客数にしても客単価にしても平均を上まわっているなら、一応は安心できますね。
しかし、この数字は、目安にするには少し弱いです。
仮に、1日あたりの客数が10人だったとしましょう。
平均を満たしている数字です。
が、美容師スタッフの数が5人だったとしたら?
美容師1人あたりの客数は2人ということになります。
ヘアサロンAとヘアサロンBとで1日あたりの客数が同じ10人だったとしても、客単価も同じだったとしても、在籍している美容師数で「美容師1人あたりの売上」は変わります。
しかしながら、在籍している美容師の数が少ないほどいいということにはなりません。
昨今増えている1人美容室の場合、1日に担当できる客数の上限は10人以下、多くても5~6人です。
よって、ヘアサロンを経営していく上で売上を出しやすいのは1人で経営しているヘアサロンよりも美容師が複数いるヘアサロンだと言われています。
自分が経営しているヘアサロンの売上を把握しているとしても平均客数や平均単価も把握しているでしょうか?
把握しているなら、コロナ前と後とでどれくらい下がったかも把握しているでしょうか?
コロナ禍の今、客数も客単価も落ち込んでいます。
経営者として数字をきちんと把握していないのであれば、まず、一般平均に達しているかどうかを把握。
そして、達していないならどれくらい足りていないかを把握してください。
コロナ前と比較してどれくらい落ち込んでいるかも把握しましょう。
自分のヘアサロンの数字を把握しないことには、経営維持に必要な売上を知ったところで活かせません。
ヘアサロンの経営を維持するために必要な売上はどれくらいなのか?
ヘアサロンの経営を維持し続けるために必要な売上。
売上はあればあるほどいいといえばそれはそうなのですが、最上限の売上を毎日毎日毎月毎月出せるほど経営というものは甘くはありません。
では、せめてどれくらいの売上があればいいのか?
実は、これには指標となる数字がありません。
というのも、「どれくらいの売上があればいい」というのは、ヘアサロンによるからです。
ヘアサロンAは毎月200万円の売上がある。
対して、ヘアサロンBは毎月100万円の売上しかない。
売上が大きいのはヘアサロンAのほうですよね。
しかしながら、売上だけでは見えないこともあります。
ヘアサロンAの必要経費は毎月150万。
ヘアサロンBの必要経費は毎月30万。
売上から必要経費を引いてより多くのお金が残るのは、ヘアサロンBのほうです。
これはわかりやすくするために極端な数字にしましたが、売上が多くても必要経費も多かったら残るお金が少なくなるのは自明の理というものです。
つまり、ヘアサロンの経営を維持し続けるために必要な売上は、「100万あればいい」、「300万あれば大丈夫」などという風に明言できません。
ヘアサロンの経営を維持し続けるために必要な売上の数字は、最低でも、必要経費の数字を上まわっていなければならないということです。
ヘアサロンの経営維持に必要な売上を出すためにどうすればいいのか?
ヘアサロンの経営維持に必要な売上=最低でも必要経費を上まわっている必要がある。
では、売上が必要経費を上まわってさえいれば、ヘアサロンは経営し続けていかれるのでしょうか?
そもそも売上とは?
売上=利益ではありません。
売上から必要経費を引くと利益となります。
収入から支出を引くと所得になるのと同様です。
対して、必要経費とは?
固定費とも言います。
ヘアサロンを経営するとなると、
・光熱費
・薬剤等の消耗品
・家賃
・人件費
・宣伝費
等が絶対に必要となります。
他にも、開業時に融資を受けたら返済がありますし、有線放送やWi-Fiなどの通信費が必要になることもあります。
無駄な経費は削るべきですがしかしヘアサロン経営には絶対に削れない必要経費が多く、そのぶん、売上を伸ばさないと利益が出ません。
仮に、毎月絶対に出ていくお金が100万だったとしたら、売上も100万円は必要です。
ですが、出ていくお金を入ってくるお金がほぼ同じだとすると、余裕がまったくない状態です。
それでは、何かあった時に対処できません。
備品を買い替えなければならない、家賃が上がった、消耗品の仕入れ値が変わった。
どれもありえる事態ですよね?
上記の必要経費の中には入れませんでしたが税金も払わなければなりません。
よって、ヘアサロンの経営維持に必要な売上とは、
*最低でも必要経費を上まわっている
*必要経費とトントンか少し上まわるのではなくある程度しっかりと上まわっている
上記ふたつを満たしている金額ということになります。
まとめ
ヘアサロンを経営していかれるぎりぎりの売上ではなく余裕ある数字を目指す
ヘアサロンを経営しているからには、経営し続けたいと考えこそすれ、早く閉店したいなどとは思わないはずです。
となれば、ヘアサロンを経営し続けられる売上を維持し続けなければなりません。
ヘアサロンを経営し続けられる売上とは、最低でも必要経費を上まわっている、できれば、余裕をもって上まわっている、そういう数字です。
自らが経営するヘアサロンの必要経費を把握していますか?
把握していないなら速やかに把握しましょう。
そして、その必要経費を余裕で上まわるために、1日あたりどれくらいの客数や単価が必要なのかを計算しましょう。
1日あたり客数10人が必要ならどうにかその10人という目標を達成するようにする。
でないと、いつまでたってもヘアサロンを経営していかれる理想的な売上になりません。
数字を掲げたらその数字をきちんと達成するようにしてください。